自然栽培? 有機栽培?

錦自然農園は、肥料をやらない農業をやってます。

ヌカとか、竹パウダーとか、炭とかを使ってみた時期もありますが、
基本は、野菜にも果樹にも、いっさいの施肥をしない。


なのに、二週間ほどまえ、
「肥料やろうかな」とおっとがつぶやいた。
太秋柿の収穫が始まってすぐのころ、ちょっと淡いかんじがしたんですね。柿の味が。

「コレって肥料やってないから?」と私がきくと、
「わからん」と返事がかえってきましたが、ややあって
「肥料やろうかな」

と続いた。
私はそれを聞いて、なんと言ったでしょう?


A 「なんで! そんなことしたら自然栽培じゃなくなるじゃない!」
B 「肥料やったら、もっとおいしくなるね」
C 「なんで肥料やらないことにしたんだっけ?」


Aは、ないです。
自然栽培という言葉に、こだわってないです。
自然栽培という言葉は大好きです。


Bは、じつに微妙。

肥料をやらないほうがおいしい作物と、
肥料やったほうがおいしい作物があるかもしれません。

味をよくするために、肥料はやるべきでない、と信じる人、
味をよくするために、肥料をやるべきだ、と信じる人、両方います。


桃のように水気の多いものはものすごく顕著に、肥料が抜けたほうがおいしい(と感じます)。
肥料(窒素分)の過剰がなくなるとどんなに雨が降っても、必要以上の水を吸い上げないので、味が落ちません。

ニンジンは、どうでしょう。
飲み会に、ニンジン栽培者がもってきた二種類のニンジンがありました。
品種は同じ黒田五寸。栽培法は両方無農薬。一方は有機JAS、一方は自然栽培。
ともに、おいしいものを作る、うちで販売させてもらうこともある農家です。
場所の提供者の機転で、両方、その場でジュースにしてくれました。

自然栽培と有機無農薬栽培のニンジンは、「どちらがおいしいか?」
ブラインドで味くらべをすることになりました。

結果、
多数の挙手を得たのは、有機栽培のにんじんだった。
私がより美味しいと思ったジュースが、有機のほうだったと知ったときは軽くショックでした。
自然栽培のほうはあっさりすっきりしていて、有機のほうは糖度が高いと感じました。


お米、たまねぎ、じゃがいも、しょうが、ごぼう、果物全般では、肥料なしの味わいは感動的においしいと思います。

体にすいすい入るし、美味しいだけではなく、心を動かすものがあります。

とはいっても、味の感度は、人によって違うので、絶対的な話ではないです。
これまで何を食べてきたかで、美味しいと思うものが変わりますから。



で、どうでもいい話に戻りますが、Cが答えです。

肥料やらないって決めたのはなんでだった? 原点はどこだっっけ
とふたりでしばし、頭をめぐらせてみました。

うちで作る作物のすべてに対して、肥料やらないことにした最大の理由は、

農薬を削減することによるデメリットがなくなるから 

桃は肥料をやらなくなって、肥料やってた時代には深く悩まされていた虫害がほぼなくなった。
ブドウも、病害、虫害とも問題視するほどに、起こってない

太秋柿に関してだけは、無肥料にしたところで問題はまったくぜんぜん解決しません。
虫害病害、ガンガン出ます。

かつて、肥料も農薬も世間の3割とはいえちゃんとやって、切り上げ剪定もしなかった時代がありました。
そのころの収穫量には、はるかに遠くおよばないままです。

肥料やらないほうが味がよくなることが多いといいましたが

太秋柿は、収穫する時期による味の差が大きいのかも。
収穫期の終了間際は、アリが発送中の箱にのぼってくるほど糖度が高いですが
前半は、そこまでいかない。
ジャー、全部後半まで収穫まってれば?
そうすると、虫害鳥害が収穫そのものをダメにする可能性が高まります。

この柿の場合は、肥料の有無が
味にも、病害虫の発生頻度にも、影響しない可能性を疑ってます。


肥料を使う人は、多くの場合、収穫量を増やすために使うようですが、
意外な理由で肥料を使う人もいます。


稲作を無農薬で行う人の、最大の問題である雑草問題が、肥料で軽減されるのだそうです。
ぬかをまくと、草が生えなくなるというのです。

大量のぬかではなく、菌類がうまく育つことを目的に少量まくそうです。

そうすれば、無農薬栽培にかえて年数がさほどたってなくても、雑草問題に悩まないのだとか。

これを実行する農家が周囲に何軒もあるようです。


でも
ぬかをまくと、有機栽培になってしまって、
自然栽培とは呼べなくなる
それが痛いとこです

有機・無農薬栽培としてがっつり有機肥料を使うところに比べたら、収穫量はまったく少ない。
でも味は、自然栽培の米のもつおいしさをもっている。

自然栽培というカテゴリーで販売できないということは
自然栽培の特長である収穫量の少なさを補う付加価値がつくられない、ということ。

自宅用ならいいのです。草をとる莫大な労力を軽減し、本当においしい自然栽培米を作れるから。


つくづく言葉でカテゴライズするのは、何かを切り捨てる作業だと思います。

有機肥料
にしても、言葉がさすものはとっても幅広く、地球を豊かに循環させてくれる有機肥料もあるし、
土を無力化する有機肥料もあるし、
言葉だけでみていると、さまざまな異見があるのも当然。

自然栽培や自然農法は、ずっとシンプルなはずが、
そうでもない。人によって微妙に違う。



信条では農業していないため、胸をはって、「うちは●●農法です」といえるものがない錦自然農園。
カテゴリーやラベルが看板にないことのデメリットは、マーケティングが弱いこと。。。。
だと思っていました。

でも近年、長年のお客様たちが

「無農薬とか無肥料とかの言葉にこだわっていたからオタクにたどりついたのに、
何度も買っているうちに、言葉より大事なのは作っている人の心だと気づいた」

といってくださる。しかも、何人もいるのです。驚きです。
マーケティングなんて高等戦略はうちには無理なので、
本当にありがたいことだと思っています。


最後になりましたが、太秋柿が今季終了しました。
ご注文を受けながらお送りできなかった多くの皆様にはこちらからメールをお送りしておりますので
もう少々お待ちくださいませ。
来年も無農薬、無肥料は続けると思いますが、道は何年たっても険しいままです。



おいしくて安全な野菜と米とお茶と加工品は
錦自然農園フルーツストア

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