時給80セントの果樹労働者(←わがオット)

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久しぶりにずいぶん遅くまで飲み、農とか野菜とか果樹とか卵とか。
農トモと
尽きることない話がピンポンラリーのように続いていました。

そこで私が初めて口に出したのは

「うちは後期の桃はやめたほうがいいと思うんですよ」

隣で酩酊している園主、「やめないよ」と即答。

でもね、
後期の桃、60本の木を剪定しても、実はあらかた落ち、
かろうじて残った2500の桃に袋かけても、

後期の桃で得た売上は20まんえんいってない(まだ正確に計算してないけど)。

どれだけの時間がかかったのか、労働量の総計はまだだしてないけど、かなり厳しい


去年の太秋柿は出しました。600時間の労働時間で売上6万円。

ドルにするとわかりやすいです(いま1ドル百円前後だから)。
時給80セントくらい。
経費に燃料費、袋代、箱代、パッキングのあれこれ、いろいろかかってます。


どこのプランテーションの労働者ですか? というレベルですが、違うのは
時給80セントの労働を、労働者自ら、選んでやっていること。

理由1は、とてもおいしいから
理由2は、喜んでくれる人がいるから

私が熊本にきた6年前
何のシゴトがいちばん好き? と聞いて返って来た答えは

太秋柿!

今は過去6年の失敗のトラウマで
園主の記憶が上書きされ、そんなせりふは出てきません。


ハナシ戻りますが
7月後半~8月の桃は、私が個人的に思うだけですが
味わいは最高だと思いました

桃っていう脆弱でよわっちいイメージの底に、太古から脈々と受け継がれてきた桃のDNAが感じられる桃。
すでに収穫から3週経過した、傷桃が冷蔵庫にありまして、だいじに食べていますが
食べるたびに、やっぱりおいしーよ、と園主にいうのです。
これが桃か、というほどの血の色をした果汁を滴らせながら。

経済を考えるなら、やめる以外に選択肢はないでしょうが、
それを無視する農家だからやめない。

おいしい、って作ってる人が信じているし。
お客さんに、私たちと同じ受け止め方をしてくださる人がいるのがわかっているし。
(世間という目にさらしてみれば、まずいという人がいるのもじゅうじゅうわかってます)


で、ハナシもどさなくちゃ。


「やめたほうがいい。やめないなら、桃の価格は一個1千円か、1千五百円だね」

友人が

「そういう価格にしても買う人がいるかもしれないけど、そういうお客さんになりますよ。
ぼくはそういうお客さんはいやだな」

価格が高くても高いことに意味があると思って買う人になりますよ、という意味ですね。

「ぼくもいやだ」と園主。


でも、そうなのかしら。と私は脳内一人会話していました。


うちはイチゴも、とんでもなく美味しいのですが、
イチゴ栽培をやめたいと、園主がいい続けてます。

イチゴのたいへんさは、ひのしずくという品種のたいへんさで、
この品種はすばらしくおいしいですが、作るのが難しい。
病気に弱い。
熊本スペシャルの品種なのに県内で作る人が減って、今季は1割より少ないのは確定的。

やめたいやめたいやめたい

口を開けばいう園主。(←ほんとはやめたくないような気もする)

病気に弱いイチゴに、定植後農薬&肥料を使わないから、収穫率も激しく低い。
でも、それだから、おいしい。

やまほどとれてないから、おいしい、って、あるんです。

「価格あげればいいじゃないですヵ」

と、お客さんから言われています。私もそう思う。


でも、

やだ

っていうんですよ。

「じゃやめるの? なんかリクツがへんじゃない?」


うちの農園で、農薬肥料をほとんど使わなくても、スムーズに作れるのは

野菜、前期の桃、ぶどう


それだけで、やっていけばいいともいえる。
スムーズにと簡単に言いましたが、ここまでの道のりは簡単ではなかった。

農薬使うか使わないかに目くじらたてていないので、強調はあまりしていませんが。
うちのぶどうは、ジベレリンもせず、完全に無農薬のものもあります。

とはいえ、ジベレリン処理をしてるものに比べて、しないものが格別に美味しいとも思わない。
しばしば、ジベレリンしない葡萄は美味しいと書かれていますが。


逆に
言わせてもらえば、ですが
激しく美味しいとしかいえない、果物の究極は、少なくしか採れないものにやどると感じます。
それはうちでいえば、

太秋柿、いちご、川中島白桃

実際採れる量を人為的に「極端に」少なくする栽培方法もあるようですが、うちは自然に少なくなってしまう
悲しいことに。
これらをうちが、続けていける価格をつけると、
柿と桃で、一玉1500円、いちごで一粒130円

「そんな高いの俺は買いたくない~~~」

って、足をじたばたさせて園主はいいますが
プランテーションで、時給80セントで作り続けるのは、きっと無理です。
無理は、サスティナブルじゃありません。つづきません(ツマの個人的予測)。


葡萄もイチゴも桃も、価格が高額で、箱が立派だと、買う方の満足度も高くなる
といわれている商品だそうです。
そういう売り方はうちはしないです。こだわりの部分が「そうしたいから」という個人的なものだし。
マーケティングのせおりーにものっとってないし。
とにかくどんなにコストが高くても、園主が作りたいから、やめないんです。超シンプル。


無農薬で果樹を作るのは簡単なんですって?
とお客さんに聞かれると、どこでそんなことを? と思います。
簡単といえる場合があるとすると、

加工用(ジュースなど)にする場合でしょうか。
表面がどんな病気にやられても、商品価値が落ちないですから。
六次産業にしたほうがあれこれ有利なのは、こういう側面もあるのです。


葡萄はとりあえず、今年も順調。
毎年のこととはいえ生育の途中で、病気や虫がお盛んになり、「大丈夫?」と私がオタオタしたこともありましたが
「こんなもんだ」
とビクともしない園主のカチ~~


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