今年の早生桃は、ニューバージョンです

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毎日こんなかんじで桃を発送しています。
これは、前期の中箱です。昨日とった写真です。

15年、こうやって桃を送ってきました(わたしは7年)。
収穫の見極めはずっと同じ。
JAに買っていただくには不向きだけれど、
お客さまには、それほど問題なく届いていました。

ところが今年は、いろんなところで、問題が起こっているようです。

最初は何が起こっているのか、まったくわからなくて、目がくるくるするばかりでした。

数年前までのように、「まずい」「皮がきたない」「こんな桃は食べたことがない」
と怒りの電話がバンバンかかってくるのなら、まだわかるのです。

お客さまからいただいたメールや電話は、
怒りではなく、
「いつもと違いますね」
つまり、汁が出ているとか、ぶよぶよだとか・・・・・・・


最初は佐川急便にそのたび、補償してくださいといってましたけど、
一回も補償はされません。
最近では、佐川急便に連絡はしないで、再送を望む方には、再送を重ねてきました。

今日もまた、汁がほぼ全部の桃から出ていたという電話をいただき、
ちょっとこれはないんじゃないの(怒)、という気持ちで、改めて、佐川さんと話したのです。

すると、

このへんには桃農家が多いけど、事故は一軒も起こってない。
桃で事故が起こるのは「錦自然農園さんだけです」
送っている桃の問題はないんでしょうか



え?

そこで初めて、
完熟収穫に問題があるってこと??

と思ったのでした


今日、関東のお客さまが電話でおっしゃいました。

「うちはオーガニックを扱う店で買い物しますけど、そういう場所でも、
売っている桃はどれも驚くほどカチカチに硬くて、時間がたったら柔らかくはなるけど、まったくマズイです」

「それは農家が経済性を確保しようと思ったらあたりまえのことみたいです。
ベルトコンベアーで桃をごろごろまわせるくらいの桃を作っている大産地もあるって聞いたことあります。
今年みたいなことがこれからも続くんだったら、うちが桃を作るの続けられるのかな、って思ってしまいます」


問題が発生する場所は、関東に集中しているので、
トラックから入れたり出したりの回数の差が原因かと思う部分もあります。

でも、
うちのお客さんの中で一番多いのが東京の人で、次が神奈川というのは
前からのこと。

前と違うのはなに? 

毎年言っていることですが、今年も、異常気象による原因を考えていいかもしれません。
それもかつてないバージョンの。

6月の早生桃だけのことだと思う(思いたい)のですが、
収穫期がうしろにずれ、春から長期にわたる少雨の影響もうけ、収穫前の数週間が高気温だった

もっと他にも原因があるかもしれません。
何より収穫期が10日ずれたのは、桃に限った話ではなく、
野菜やくだもの、花の開花期でも、幾度も聞かれた話でした。

何かがおかしいのですが、
何がおかしいのか、その原因は何なのか、それはわかりません。

過去にない弱さを桃に加えている原因が何なのか、私たちにはわかりません。

もともと、ちよひめは皮が薄く、果肉は繊細。
そんな桃を、完熟収穫をすることが間違いなんだ!

というのは簡単ですけど、これまでずっとそうしてきましたから。

今年だけ、異常なんです。

私たちが、フルーツの栽培方法で、何かを変えないといけないとしたら・・・・・、

お父さん、それはひょっとして、
未熟桃を収穫しろってことですか?

(NHK「ひよっこ」のナレーション風に)


そんな迷える錦自然農園ですが、
数年前からうちのフルーツをご愛顧くださっている、今ではミシュランも認める
恵比寿のタクボさんが、
facebookで数日前、こんなことを書いてくださいました。

紹介させていただきます。
オットはこれを「自慢みたいだからやめろ」といいました。
自慢じゃないです。



【錦自然農園の桃】

僕が日本一だと思う桃です。
内布夫妻がほぼ無農薬、化学肥料も堆肥も使わず大切に育てあげた桃。

そして、樹上で完熟させます。
一般的な農家さんは輸送のことも考慮して
早摘みし出荷します。なので店に届いてから
熟させるわけですが、柔らかくはなりますが
美味しくはなりません。
美味しさを求めるなら樹上で完熟させて
出荷するのがベストです。
しかし、1つ問題があります。
桃は大変デリケートな果物ですから
完熟させた桃を熊本から東京に送るのは
かなりリスキーです。運送会社さんが
雑に扱ってるとはいいませんが、
桃の荷物の上に他の荷物を置くだけで
潰れてしまいます。
なので、写真のように頭が少し潰れたり
変色したりしてしまうのです。

僕たち料理人が食材の背景を知ることはとても大切だと思います。
例えばこの桃が市場やスーパーなどで雑に扱われて潰れたりしてたらどんなに安くても僕は使いたいとも使おうとも思いません。

内布さんの少し潰れたり変色した桃は
スーパーや百貨店には絶対に並ばないでしょう。

でも、僕と内布さんの間には信頼があります。

なので、
TACUBOでは、自信を持ってこの
ちょっと潰れたり変色したりした
日本一美味しい桃を使わせて頂きます‼️

安心してください。明らかに味に影響があったり
余りにも見た目が悪いものは僕が食べますので
ブヒブヒ



タクボさんだけが特別にこんなことをいってくださっているわけではなく、
多くの方が、私たちがお客さんに望んでいる理解の程度よりも、はるかに大きな理解をくださっています。

それに甘えたり、冗長したり、自慢に思うとかは、ぜんぜんしてません。

当惑と迷いと、不安と、何をどうするのがベストなのか求めあぐねる気持ちは積み重なる一方です。


ただ、今日はお客さんと電話で話す機会が重なりました。

東京のお客さん

「去年もおたくから桃を買えなかったでしょう。
うちは、桃なしの夏をすごしましたよ。
お宅の桃しかもう食べられませんから」

横浜のお客さん

「たいへんですよね。こんなこととてもできないと思います。
汁が出てたのは実は前の週に静岡からビワを送ってもらったのに続いて2回めで、
送りなおしてもらおうと思ったけど、それはいいです」


2011年にネット販売を本格化させて6年。
自分たちがおいしいと思うものをお届けしたいという気持ちで
フルーツや野菜をおくっています。

何が正しいとか正しくないとか、主義や主張はないです。

うちが作っているようなもの、こういうものが欲しいと思っている人だけに、
届けばいいな、と思っていろんな努力をやってます。
やってますが、べつに胸をはってそうしているわけでもないです。



<追伸1>
タクボさんのお店(TACUBO)は、グループでいく個室もすてきですが、
私が東京人なら、ひとりゴージャスランチやディナーする場所にしたいところです。
カウンターでおいしいワインを飲みながら、素材を本気でいかした目にも美しい料理を、
目の前で燃える薪窯の炎をみながら、味わうことができたりします。

<追伸2>
突然ですが、ジャムと黒麹を今日で注文をいただくのを中止させていただきました。
理由はすこし時間の余裕がないとだめだなと思ったからです。
(桃の発送とは担当が違いますのでべつの話です)


野菜セットのご注文は、毎週水曜正午まで
錦自然農園フルーツストア

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小林麻央さんのこと

今日は、桃と野菜の発送で、しっちゃかめっちゃかの時間に、
NHKラジオから流れてきた小林麻央さんの訃報に接し、
心が一瞬空白になりました。
彼女がこのまま厳しい時間を過ごすことが
どれほどきついというのは、じゅうじゅうわかっていましたが、それでも、
ずっと生き続けてくれたら
どれほど、多くの人に希望と励ましを与えるか、と思っていました。

生きていてくれるだけで、こんなに希望をくれる生のかたちがあることを
彼女は、見せてくれました。

わたしが5日でギブアップした抗がん剤を
彼女は驚くほど長い期間やってました
すごいなあと思ってみていました

きっと私より何百倍もいきたいという気持ちが強いから、できたんでしょうね
お子さんたちをおいていくことは、くるしみの最たるところだったでしょうね

長く生きることが、短い寿命よりいいこととは思わないし
病気を克服することは、克服しないことよりいいこととも思わないし

ということは、なんだか前も書いた気がしますが

最近気づきました。

こうして、みなさまに桃やら野菜やらを届ける
元気な時間を、できるだけ長くしたいという欲求が
とても強いみたいだと。


働きたがりというのはじつに、困ったもんです。


あと30年くらいいいですか?



「自然派の桃」もそれほどお待たせしませんが
「山育ちの桃」は、即日です。日川白鳳の収穫も始まりました。
錦自然農園フルーツストア

桃の価格問題

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なんと二週間もブログを書かなかった
いつ以来だろうか。ひさしぶりです。

この写真も2週間くらいまえのもの
ブログの写真担当者に言いましたよ。
「なんで撮らないの」
「忙しくて、もー、そんな時間あるわけないだろ」

1年間の最多忙時期は、今週でおわります。
今週一気に送ってしまうと、あとはふつうに桃シーズンが続きます。
8月まで。

トップバッターの品種、ちよひめの収穫期はあと数日
日川白鳳も今週からはじまります!
早生桃のおいしさを体験したことのないかた、
どうぞ、ご注文ください!
速攻で送れます


錦自然農園のふたりは、ほんとにショーバイへたくそだね

と思ってるかたはお客さんのなかに34人(意味ない数字です)はいるとおもいます
じつにへたくそ!

わたし(つま)が球磨人になってネット販売はじめた2011年から
2014年までは、ずっと、

お客さんが求めてくれる量 > 収穫量

注文もらったのに送れません、すみません
をくりかえす心苦しさのなかで
シーズンが毎年終了していました

2015年と2016年は、
5年をかけてチャレンジした剪定方法の失敗が気象異常と重なり、
一年間、桃畑を世話したあげくのトータル収入が、
20万円代とか・・・・(桃は、うちの主力作物なんですけど!)

そういう時期をへて迎えた

2017年

「うーーーん あんまりよくないね」
オットが予測した原因のひとつは、乾燥による虫害。

ところが風景としての調子は悪いんですが、
果実としての調子は悪くない。

「ひょっとしたら、桃のちょうしは、よいんじゃないの!」

ツマが言い出したころには、

「あんまり注文いらないから(高くていいんじゃない?)」

というオットのよみオオハズレ。

(どひ・・・・いまさらどうするの・・・・)



でも、よかったと思ってます。

わたしたち、
イチゴの作り方にしても、剪定にしても、
世間に成功例がなくても、どうなるか結果を見てみたいからやってみよう

て、スピリットが夫婦共通。
柿なんか、桃より過激に失敗して、2年前は、2000坪の畑で年収6万円だった。
(慣行栽培でちゃんとできれば500万の土地だとJA職員にいわれてます)

今回、「やってみよう。結果をみてみよう」とトライしたのは、
自分たちの思いにふさわしい桃の価格をつけることでした

そんなことをしたいと、農家のすべては思っているとおもいます。
なんで洋服は、バッグは、レストランで食べる一皿は
あの価格で流通しているのに、

農作物はそうじゃないのか

かつて、かぼちゃに2500円の値段をつけて撃沈した人の話をききました。

価格をつけるのって難しいです。

スピリチュアルなんたらの1万円は安く感じて、
イタリアのラグジュアリーブランドの商品の1万円は安く感じて、
熊本の、いろいろがんばった果物の一万円は、高すぎると感じる。

そういうトライアルを初めてやってみた!

やってみたから、私たちの適正価格を、私たちなりにわかった気がします。

4年前は、イチゴの価格を1パック1000円超えさせるだけでも、
夫婦間で、大激論でした

価格を高くしても買ってくれる人は、どんな人?
今の自分たちの作物を愛してくれてる大切なお客さんを失ってもいいの?

オットはほとんど涙目でした
だけど
結局、わたしたちは、イチゴをやめることにした。
理由は、根源でいってしまうと、
高値をつけることができなかったせい。

自分たちがどーしたってつけたくない価値をいちごの価格にのせないと
イチゴ栽培にかかる時間とエネルギーがみあわない
だったらやんないほうがいいよね

です

イチゴを喜んでいただくことでえられる幸せをどんなにいただいても
イチゴはきびしかった・・・・・・
錦自然農園の果物でワタシが一番爆食するのはイチゴなのに。
大好きなのに。

桃は、ただいま、

収穫量 > 販売量

やっばーーーーーー!!!
あまったらどうするのかは、まだ夫婦会議してませんです。


いまの桃園の風景が悲しいといいましたが、
農薬をもうすこしかけていれば、見なくてすんだ風景。

でも、だからといって、もっと強力に農薬かけて、収穫量ふやそうよ、とは、うちでは誰も思っていません


ただ、
つくづく、
こういうことって、


おもしろいなあとおもいます。


2015年に桃が20万円代でも、柿が6万円でも、オットも私も
農業以外の仕事をしに、出稼ぎしないですみました。

農薬も肥料も最小にしても、びんぼうしないですみました。

ジャムや黒麹やキムチをつくり
野菜セットを販売して
フルーツでいくら無謀しても、いきていけるように、と準備してきたせい、じゃなくおかげです


今日やっと、黒麹つくりました。ジャムつくりました。



野菜セットのご注文締め切りは毎週水曜。金曜発送。桃との同梱OKです
桃のご注文、桃ジャム、黒麹、そのほかめちゃおいしいもんのご注文は、
錦自然農園フルーツストア

桃のジャム 

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2011年に、錦町の道の駅で桃のジャムを売り出したときの手書きPOPです

たまたまサイトを作りなおす過程で出てきました。
自分の必死さが懐かしい。

絵も字も手描き。一字でも間違ったら、すべて書き直しになる緊張感で硬いですが、
絵を描くのも字を書くのも好きだし、POPなんて作るの初めてだし、すっごく楽しんでました。

瓶はいまと違う、縦に長いもの。お店に陳列したとき、中身が多く見えるという利点で採用しました。
ラベルは夫が作ってた「SUN & EARTH」
太陽と土が作る、ジャムみたいなイメージ

初めてだったのはPOPだけではありません。
2011年は、ジャムをうりはじめた初年度です。
熊本にくるまで、作ったことはあっても、売るなんてとんでもないと思っていた人が
一年かけてやっと売る勇気をふりしぼったのでした。

ノート三冊分試作しても売り出せないのは、もともとジャムを作れる人に対するリスペクトが強すぎたのもありました。
レシピがシンプルなものほど、本当においしいものは才能なしに作れないと信じてました。


どうしても売る勇気がなくて、東京の友人にジャムを送ったら、友人の夫が
ナイスなアドバイスをくれた。

「百%いいものを作ろうと思ったら打席にさえ出られない。
イチローでさえ3割なんだから。まずは打席に出て、アレコレ言われて、
始まるのはそれからだ」

さすが。カメラマンはイイこと言います。


今年も、桃ジャムの販売を開始しました。
まだ収穫前で一本も作ってないですが。
桃にかぎっていえば、この頃(2011年)より、ずっと美味しくなっていると思います。
この年から、堆肥も化学肥料も一切やらなくなり、早生の桃はおいしくないと思っている人に驚かれるようになりました。


桃の味じたいがいいので、ジャムの味もよくなるんだと思います。
「今まで食べたジャムのなかで一番おいしい」と何回か言っていただきますが、
自分が作っているとはぜんぜん思っていません。
うちのジャムを作っているのは、桃であります。


今年、ジャムをどうしようかなあ、と長く悩んでいました。
おっとは作らなくていいよ、というのですが、作りたいという気持ちがあり、
時間がないなか作るというたいへんさと、どう折り合いをつけるのか
今年にかぎっては、読めそうで読めない


「黒麹」もいまだに在庫切れのまま。たぶん作ると思います。
1年くらい、どっぷりと、ゆっくりしたほうがいい、という意見もあるけど
ひとの手を借りて、やればいいという気持ちも強くありますし。
そこらへん調整中であります




今週もまだ、桃の収穫は始まりそうではないですが、
桃とか、野菜とか、おこめ、卵、新茶、紅茶等のご注文は、

錦自然農園フルーツストア






映画「メッセージ」にハマりました☆

ネタバレはぜんぜんありません。
エンドロールがおわり、振り返ったら館内には、私たち以外にひとりしかお客さんがいなかった。

話題性は高いが客がいない、ということは田舎の映画館にはよくあることですが、
ここまで入ってないと打ち切りも近いかも。

メッセージ

という映画を観てきました。

あまりに映画に入り込んでしまっている自分を危惧して

「これは映画で、あのひとは演技してるんだから」

と言い聞かせないといけないくらいドツボだったです。
主演女優が上手なこと上手なこと。
シンプルな演出が過不足なくて、冒頭から最後まで、息もつかせない、とはこのことでした。

時間は流れない
原因と結果の法則なんてうそっぱち

そういうことを考えているヒトだったら、めちゃはまります。
加えて、

言葉がすべてのはじまりにある

と考えるヒトだったらもっと。

これらをテーマに映画が作れる時代になってるんですよねえ。
この監督、「ブレードランナー2017」も作ってるんですって。楽しみすぎる。

仏教をはじめ、インドでも西洋でも日本でも古代も現代も哲学者が同じことを言い続けている
と最近気づいて読書熱がとまらないんですが
そういう時期の私にどんぴしゃりな映画でした。

arrival

という言葉が最後にでてきて終わるんですけど、この解釈も各人各様にありそうで
わくわくします

通信というと電波とかなんらかの物理的なものを使うのが、人類の現在地点だけど
そこには時制の枠組みがかならずつきまとうけど、それが外れたら・・・・?

ちょうど20年前に作られたジュディ・フォスターの「コンタクト」と似てる部分もあるけど
だんぜん「メッセージ」のほうが深いのは、
原作が科学者じゃないからかも。コンタクトの原作はカール・セーガン。

科学者より詩人が先に真理に到達する、という気がしています。
「メッセージ」はそういう意味で、いくらでも深読みのできる映画。



病気というのも、治るとか治らないとかはもう決まっている
それを知っていることと、知らないことの間で人は何ができるか。
生きるとは時空としての宇宙を旅すること。
普段考えているその感覚が映像で楽しめました。

この監督や原作者と、とくべつ趣味があうわー
というわけではなく、もう「そういう時代」なのだろうと思いました。


将棋や卓球みてると、じんるいの進化ってすごいスピード
って思いますが、
芸術的表現の進化スピードもすごい。
CG技術の話ではなくてですね。


そうそう。
音楽もいいんです。
北欧かと思ってぐぐったら、アイスランドのミュージシャンによるものでした。
機械を駆使してもアニミズムの匂いがするところがどこかビョークっぽい。



今週もまだ、桃の収穫は始まりそうではないですが、
桃とか、野菜とか、おこめ、卵、新茶、紅茶等のご注文は、

錦自然農園フルーツストア